バイブレーション仕上げのステンレス

先週金曜日に南大類町にお住いのS様からお問い合わせがありました。「ステンレス素材のバイブレーション仕上げされたアイランドキッチンなのですが、一部汚れや誤った掃除でコーティングが剥がれたような痕が残ってしまいました。綺麗に直していただきたいです」。

恥ずかしながら、バイブレーション仕上げってどんな感じ?と調べて、何度かお目にかかったことのある素材だとわかりました。同時に、この仕上げはステンレスの渋い光沢感を長持ちさせる、あるいは普段のお手入れが楽にする意味があり、コーティングなしで出荷されるものという印象を持ちました。

そこで、「写真を下さい」とお願いしました。すぐにお返事があり、とても分かりやすい写真が複数枚送られてきました。トリミングしてありますが、その一枚。

お客様提供写真

書いて下さった通りの症状です。コーティングが剥がれた感じがありますし、何かしらボトルを置いた跡も残っています。ただ、樹脂コーティングが剥がれたときにできるペりぺりした剥片や段差はありませんし、ボトル跡も深い浸食ではありません。

これまでの経緯をお尋ねすると、「衣類用洗剤を詰め替えているときにこぼした、ツナ缶など油のついた缶を放置した、クエン酸の液体スプレーを吹きかけてメラニンスポンジで擦った、食器用洗剤を垂らした、ボトルの跡はキッチンハイターだと思う」ということでした。

この中でやや影響が大きいのはクエン酸スプレーでしょうか。すこし安心しました。そういうことでしたら、一部区画で研磨作業をして仕上がり具合を見てもらい、それを全体に施工するという方法でお請けできます。(水あかには酸が効くという情報から、サンポールやテラクリーナーヤマトを試す方がいらっしゃいますが、ほとんどの場合、お手入れ前にはなかった見苦しい変色が起きてどうにもならなくなります。修正はなかなか大変なことになります)。

こんなやり取りを経て、本日キッチンステンレス天板の修正研磨に行って参りました。

もらった写真と同じアングルですが、症状が分かりにくいです。

シンク左側

まずはピアで擦り洗いしてみました。これは、コーティングに見えるものが「油汚れ」だった場合を想定したものです。白い人工大理石の天板などでは、洗剤を塗ったところが真っ白に抜けることがあり、そんな効果を期待してやってみました。残念。全く変わりませんでした。

そこで、アルカリ性の微粒子研磨剤で磨いてみます。いくらか変わりますが、時間がかかりすぎます。ベストベットとナイロンパッドに変更。3MグリーンパットNo.96、3MパワーパッドNo.3008、最終的には日本レヂボンファブリックシートプレミアムを試しましたが問題なさそうです。

修正研磨後

Sさんに見てもらったのですが、「こんなにきれいになるなんて!」と感激のご様子で、それほどでも…てれてれ坊主でした。

作業中にご主人が戻って来られて、隣のダイニングテーブルの移動やら、テーブル上のペンダントライトの取り外しやら、冷たい飲み物の差し入れやら世話を焼いていただきました。恐縮です。

シンクの右側が比較的広く、ハンドポリッシャーを使いたい面積でしたが、そうなると養生が大変です。かといってサンダーは音が大きすぎて迷惑をかけてしまいます。ということで、すべて手磨きでした。

磨いているときに見えてくる不思議なストライプ。水あかなら磨き落とせる程度の研磨をしても、びくともしません。今回はこの色違いをなくすことがテーマでした。

天板に現れる色むら

とりあえず色むらをなくしてお引き渡し。シンク左側を反対側から撮ってみました。

シンク左側を奥から

お手入れ後

ステンレスは磨くと再生できるので、キッチン設備に向いていると思います。メーカー製品でコーティング加工されているものもありますが、どうしても少しづつ剥げてしまいます。水あかは使用後に拭くことである程度防げますし、見過ごせなくなったら呼んでもらえれば磨きます。

Sさんにもお話ししたのですが、怖いのは錆びを放置することです。ステンレスは油分を放置すると錆びます。それとは別に、クリップや硬貨などを放置すると、もらい錆を起こすこともあります。さびが表面にとどまっているうちはいいのですが、わずかでも表面の浸食が始まると大変です。大げさに言えば陥没穴になってしまいます。これを直すのは難しいです。

ということで、アイランド型キッチン天板の修正研磨の巻でした。S様、このたびは当店へのご用命をありがとうございました。

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