お掃除エアコンオーバーホール

石原町のT様から初めてお問い合わせのメールをいただいたのは,7月11日でした。パナソニック2010年製お掃除エアコンのクリーニングの見積りで,1台,あるいは2台をご検討中でした。リビングの1台をということになり,8月初めにご予約をいただきました。

その日,稀なと言ってもいいと思うのですが,どういう手違いかダブルブッキングになり,先約のT様のお宅に伺いましたが,設置状態の関係で延期させていただき,後のご注文の2台を洗わせてもらった次第です。

パナソニックのフィルター自動お掃除エアコンは,かなりの数の配線を扱います。基盤はたいてい右側にあり,右側から左に向かってプラグを挿す設計です。これは非常に不親切な設計です。日本の住宅事情では,カーテンレールなどとの関係で,エアコン室内機が右側にほとんど余裕のない設置になることがあります。例えばファンモーターのプラグとルーバーのモーターの2本ぐらいなら,手探りとか鏡の使用で抜き差しできます。ですがお掃除エアコンの位置も形状も不規則な10本以上のプラグの抜き差しを手探りでやるというのは人間の能力を超えています。

この問題をどうしたら良いのか。簡単です。中継地点を作ればよいのです。正面から触れる位置に,配線の中継地点を作り,直接基盤のプラグを触らなくてもパーツを取り外せるようにすればよいのです。コストはかかりますが,これはメーカーとして,お掃除エアコンで不当な利益を得ているせめてもの良心でしょう。僕はお掃除エアコン(とエアコン内蔵イオン発生装置)は詐欺行為だと思っているのです。

自分のスケジュール管理を棚に上げてのメーカー批判ですみません。Tさんのお宅のエアコンは冷媒配管を外すオーバーホールが必要と考え,8月の暑い時期ではなく涼しくなってからと延期してもらったのです。大変ありがたいことですが,当店の趣旨を善意に受け取って延期を受け入れて下さり,今日のご注文となりました。

いくらか気負っていたのか15分も前に着いてしまいました。5分前は喜ばれると思うのですが,15分前は迷惑ですよね。それでも笑顔で迎えていただき,機材の支度と養生を始めます。まずは室内機設置状況,室内機を降ろした様子,降ろした室内機のクリーニング前後です。今回の型式は,CS-500CXR2,パナソニック2010年製です。

パナソニック,フィルター自動お掃除エアコンオーバーホール

室内機が手元に降りると,分解は非常にスムーズです。この型式では,お掃除ロボは左に常駐,ナノイーと排気ファンは右側にある作りでした。今までの型式(お掃除ロボは右にあり,排気ファンは左にある,プラグを外せばお掃除フレームが先に外れる)と違い,お掃除ロボのフレームより先に基盤を外す順序でした。外した部品のクリーニング前後。壁側化粧板とファンとドレンパン。

外したパーツのクリーニング前後

フィルターのホコリを吸いとり,外へ廃棄するというコンセプトで,エアコンを汚れにくくするはずですが,そのお掃除機能自体も汚れます。お掃除ロボットのフレームもホコリとカビにまみれています。

お掃除ロボットのフレームも汚れます

僕としてはこれが許せない理由です。フィルター自動お掃除エアコンは,「フィルターにつくホコリをなくして,その内側の熱交換器の汚れを防ぐ」という主旨です。ところが,パナソニックエアコンのお掃除機能は,その真逆の働きがあります。フィルターのホコリのごく小さな粒子をフィルターの内側に降らせます。ちょうど濾し機で砂を降らせているかのようです。お掃除機能のないエアコンより熱交換器が汚れるのです。

メーカーの実験室ではうまくいっているのでしょう。実際一度だけ,数年使って新品のようなパナソニックのお掃除エアコンを見たことがあります。それ以外は,当店の見た限りでは,お掃除エアコンの方が汚れています。

この画像は,オーバーホールは壁掛状態では考えられない角度で洗えることを記録しました。今回の作業時間は約5時間でしたので,洗ったパーツは陰干しでしっかり乾燥できます。

お掃除エアコンの方が熱交換器が汚れます

さて,オーバーホールでは昔の冷媒よりも繊細な作業が求められます。今回は,ポンプダウンはもちろん,外した部分のフレア再加工と,真空引きです。既存は貫通スリーブを使っているので優良工事だと思います。ですがフレアはいくらか寸足らずな気がします。R22のころの加工です。当店もフレア加工はまだまだ改良の余地があると思います。いくつか思いつく部分があります。師匠について学んでいないので,これからも改良します。

フレア再加工と真空引き

最後にアラカルト。外したプラグは12本ほど。ここがしっかり復元できていなかったらどうなるのでしょう?オーバーホールのクリーニングしやすさと裏返しの責任の重さを感じます。真空ゲージは振り切っています。温度が十分あり,乾燥していると真空度が高まるのでしょうか。クリーニング後の配管カバー,そして室内機。試運転で異常が無くホッとします。パナソニックはルーバーやグリルがお互いに干渉するので,どこかが狂っていると判断すれば停まるのです。今まで通り動くのが当たり前ですが,試運転は緊張します。

アラカルト

Tさんはエアコン下を広く空けて下さいましたし,リビング外には広いウッドデッキ,さらに広いお庭と作業性抜群の環境でした。外で作業する私どものために蚊取り線香も焚いて下さいました。こちらが動きやすいようにお気遣い下さるのは,大変ありがたいです。

2階に施主支給でエアコンを設置したいとのお話も。当店も興味があるのですが,壁に穴を開けるのが怖いです。穴があればお請けするのですが。知り合いを紹介したいと思います。

最後にお支払いをいただき,お土産と飲み物をいただいて,息子さんとお見送り付きで撤収。T様,ご注文から終了まで大変お待たせいたしました。それにもかかわらず,私どもへのご厚意の数々,ありがとうございました。

2 Responses to “お掃除エアコンオーバーホール”

  1. 北口朋克 より:

    初めまして( ´ ▽ ` )
    いつもブログ読ませていただきながら参考にさせてもらっています

    フレアなんですがキッチリと面取りするのと適度なフレア面積さえ保ててればまず漏れないですよ( ̄ー+ ̄)

    あと接続する時はユニオン側とフレア面にゴミついてないかの再確認くらいす(^-^)
    結構フレアナットのねじ切り部分のバリが付くので気を付けて下さいねっ

    • ryo より:

      北口朋克さん,コメントありがとうございます。

      設備やさんで取り付けも洗浄もしていらっしゃるのでしょうか?北口さんのHPやブログと思われるものも見つけました。僕は設備やさんにあこがれています。

      熱交換器を内側から拭いたタオルの写真,勉強になりました。一方から高圧洗浄しただけじゃダメで,必ず両面から洗う必要があるんですね。

      さて,フレアについても経験に基づいた勘所を教えてくださり,ありがとうございます。バリ取りはかなり頑張っているのですが,フレア面にかすれた部分ができます。どうもツール側に問題があるのだと思います。今回はっきり感じたのですが,コーン先端をメンテナンスしてあげる必要があります。分解メンテナンスが必要です。

      あとバリを取ると,配管内に屑が入りますが,これがきちんと取り除けているのかが気になります。2分管だと綿棒でも太すぎ,ティッシュでこよりを作って取り除くのですが,当然外側から挿入するのでその段階で奥へ行きそうな気がします。

      最後になりますが,ブログの相互リンクをお願いできますか?

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