人造大理石(テラゾー)の染み抜き

11日に,当店アドレスに直接のメールがありました。そこに書かれていた電話番号から15分ほど前に電話を下さっていたこともわかります。大変興味を感じる内容でした。

「クリンサーブ ご担当者様

はじめまして。東京の〇〇〇〇のMと申します。
桐生市なんですが,今回短期で借りていた物件の石の床に恐らくゴミ袋に入れていた飲み物の空き缶からの漏れで広くシミがついてしまいました。
石の知識が無く,なんの石か言えないのですが,築50年くらいは経っているであろう雑居ビルの空き店舗の床です。
状況の写真を添付しました。この様な染みに対応願えるでしょうか?

場所:桐生市巴町〇〇〇〇

もしご対応可能でしたらお願いしたいのですが。ご返信よろしくお願いします。
私の携帯にお電話くださっても結構です。よろしくお願いします」。

添付画像は2枚,モルタルのように見えるのですが,何か混ぜ込んであるようです。天然石ではなさそうです。シミは褐色,かなり目立ちます。石材美観について何かできるとすれば試してみたいです。桐生市ということで営業エリア外ですが,施主は東京の方でお困りのようですし,ちょうど明後日が空いていたのでお見積りを差し上げました。

Mさんは是非お願いしたいということで,現地の様子や鍵の件など細やかに手配してくださいました。

実はちょっと甘く見ていたんです。相手はモルタルだし,例えば果汁,ジュース,ワインなどの汚れなら,通常のアルカリ洗浄で落ちてしまうのでは?その段階でほとんど落ちて,うっすらと残ったものは過酸化水素水で時間を置けば落せるのでは。

現地に到着して実際に素材を見ると,テラゾー(人造石研ぎだし仕上げ)でした。真鍮の枠を置き,モルタルに天然石の細かい粒(種石)を混ぜて塗り込み,硬化後に回転工具で研磨して平滑にしたものでしょう。室内側には回転工具の跡が残っていました。今なら工場で作ったテラゾーのタイルを張って目地を入れる感じだと思いますが,昔は現地でオーダーメイドしていたんですね。

さて,染み抜きについての僕の見立ては甘かったです。次の3枚をご覧ください。1枚目と2枚目は到着時に撮った写真です。2枚目は今回一番の難関だった場所をマークしました。3枚目は,ナノバブル水にナノテックCRを溶かして洗い,全く変化しなかったので,過酸化水素水とアルカリ(苛性ソーダ系)で15分湿布漂白した後です。変化していません。(何をしたかを書くために名前が出ましたが,ナノテックCRやナノバブル水の洗浄効果は素晴しいです。このケースには合わなかったということです)。

作業前シミが頑固だった部分アルカリ洗浄,過酸化水素が効かない

今日は店長一人対応ですし,自分のイメージが基礎から崩れましたから,銀ちゃんに連絡を入れます。「テラゾーで飲み物のシミを落している,アルカリにもカスイにも反応しない…さび取りを試します」。すぐ返事があって,もうそれだけで心強いです。独りでやっていると煮詰まります。一緒に考えてくれる人がいる,と思えるだけでパフォーマンスはマイナスからプラスになるものです。しかもそのアドバイスが的確だとしたら,自分の能力を超えたパフォーマンスになり,それは今後の蓄積になります。

錆だなんて考えていませんでしたが,明らかに反応しました。初回の反応。ちなみにさび取りでは硫黄臭が発生します。

ラストリムーバー

ナノバブル水でリンス洗浄してもう一度さび取り剤を入れると,激烈な反応。1回目はその前の工程で使った過酸化水素水が化学反応を抑制していたんですね。別の洗剤を入れる場合はしっかり水洗いやバキュームを入れる必要があることの好例です。

また,この強い反応から,これが漏れた液体そのものの着色ではなく,石材内部で発生した錆色であることが分かります。液体に含まれていた酸性の成分で,石材内部の鉄分が錆びて変色したということです。

さび取り剤への反応

実は頻繁に出番がないので,持参したさび取り剤の量が500mL,短時間で回収して塗り直したのであっという間に在庫切れ(恥。銀ちゃんに画像を送ると,「まだまだだな,正直言って」と,厳しい判定。そうなんです。「ここまでしかできません」で済ませることもできますが,「もう少しやれば」ということを諦めたら,悔いが残るでしょう。

そんなわけで,桐生市の資材やさんを検索して,北関東衛材を見つけて,買いに行きました。そんな回り道をして買い足したさび取り剤も使い切って,漂白しています。

さび取り後さび取り後過酸化水素水塗布過酸化水素水塗布

写真を撮っていなかったのですが,染みの境界線が残ってしまいました。ここまでと言えば言ってしまえるレベルですが,さび取りがきちんとできたか?と言われると,答えはNO。もう一度資材やさんに買いに行きました。2本買っておけばよかった。馬鹿だね~。

さび取り剤を塗ると,まだまだ反応しています。

錆への反応錆への反応

作業を振り帰ると,我慢が足りなかったと思います。銀ちゃんの「色素移りは落ちるから大丈夫」の言葉通り,石材が紫に染まっても,カスイ+アルファで瞬間的に落とせます。さび取り剤をすぐ回収せずに,湿布・漬け置きすればもっと効率が良かったのかもしれません。

買い足した2本目のさび取り剤もほぼ使い切るころ,ほとんど化学反応がなくなりました。ナノバブル水で洗ってバキューム,過酸化水素水を塗り始めてから写真を撮っています。

過酸化水素で漂白寄ってみます

作業後の写真です。Mさんに写真を送ると,「これで十分です,お世話になりました。余分にかかったものは請求して下さいね」,とありがたい言葉。1枚目が全体,2枚目のマークが染みの頑固だった部分,3枚目がそのアップです。染みの強かった部分が幾らか白っぽくなったようです。

作業後全体染みの強かった部分そのアップ

ここまで時系列で来たのですが,比較しやすいように作業前後を並べてみます。アングルが微妙に違うのはお許しください。まず全体像。

染みの全体像お手入れ後

シミが頑固だった部分。

特に頑固だった場所お手入れ後

M様,このたびは当店へのご用命をありがとうございました。そしてコーチしてくれた銀ちゃん,くじけずにできたのは銀ちゃんのおかげです。ありがとうございました。

このビル,柱の装飾で20ミリ厚の蛇紋岩が使われています。これは天然大理石です。

蛇紋岩タイル

今回触ったのは人造大理石でしたが,今後とも石材の美観を回復し,維持管理して参りたいと思います。

“人造大理石(テラゾー)の染み抜き” への4件のフィードバック

    1. ありがとうございます。(汗

      きちんと全体を酸洗いして,中和洗浄したら違ったかもしれませんね。
      染みの境界線まで消えたら嬉しくなってしまって。

      1. 直接物を置かないで、洗剤入れている容器にも気を使ってちょんまげ。お化けの仕業か、謎の動物の足跡かとお客さんがパニックになったら大変!(笑)

        次にそのような画像を見たら、鼻に割りばし入れてキックします(爆)

        1. 容器と靴裏は結構気を遣っています(^o^)/。この日も容器は塗ってある場所に置くか,底をふき取ってから養生の上に置いたすすぎのバケツにかけていました。洗浄区画の隣には足ふきマット。

          そういわれてよく見ると,染みのまわりにある白いのは,どなたか塩素系漂白剤を試した跡だったのかも。
          色抜けといった感じです。カスイでも変化しなかったんです。

          謎解きが一つ出来たかな⁈

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